フランチャイズチェーンは、理念共同体
フランチャイズチェーンでは、資本関係も雇用関係もないフランチャイズ本部とフランチャイズ加盟店が、同一ブランドのもと、同じ事業を行います。したがって、お客様がどの店舗を利用されてもブランドイメージを損ねないようにすることが重要です。直営店とフランチャイズ加盟店のどのお店を利用してもその差が分からないというのがフランチャイズチェーン運営の基本です。
そこで最も大切なのが、本部と加盟店が共に同じ考え方で経営するということです。これが、フランチャイズチェーンは理念共同体といわれる所以です。そのためには、フランチャイズ本部は、フランチャイズ加盟店と共有できる理念を明確に発信することが求められます。
フランチャイズ本部構築においては、フランチャイズチェーンの理念を以下のように体系化することでわかりやすく共感を得やすくなります。
目次
<フランチャイズチェーンの理念体系>
・事業コンセプト規定
当該事業の基本コンセプトを表現したもの
・存在価値規定
事業を通じて社会にどのようなベネフィットを与えるかを明確にしたもの
・経営理念規定
経営する際の基本的な考え方、行動指針などをまとめたもの
・チェーン化の目的規定
フランチャイズチェーン展開を行う目的を明確にしたもの
理念体系は、時代を超えた普遍的なものも含まれますが、社会環境の変化や自チェーンのステージによって変化するものでもあります。常に時代に合っているかどうかを確認しながら、チェーン全体の共感が得られる理念を発信し続けることが必要です。
さらに、チェーン全体の一体感を増すためには、分かりやすい定量的な目標設定も重要です。日本全国で1000店、業界ナンバーワンなどの目標は、フランチャイズ本部だけではなくフランチャイズ加盟店オーナーも自分たちが社会的に影響力のある存在になったという誇りを持つことができるため非常に有効です。
フランチャイズ本部構築をスタートさせてまず初めに検討するのが理念体系の明確化です。これまでの自社内の社是や行動指針、経営者へのインタビュー記事や講演内容などをベースに、現在から将来に向けての社会環境変化予測を勘案して、上記の理念体系の項目に則ってまとめます。
そして、理念は飾りではありません。フランチャイズ本部と加盟店が共に成長していくためには、日常の運営の中に理念が浸透していることが欠かせません。そのためには、フランチャイズ本部として、如何に理念を発信し続けて、加盟店に浸透を図るかということも重要な課題となります。