フランチャイズチェーンのマニュアルがもたらす効果
チェーンストアはパート・アルバイトを即戦力化することで発展したという歴史があります。その中で重視されたのがマニュアルです。
例えば、店舗での商品製造、陳列、レジ操作、袋詰め方法、クレンリネス、メンテナンスなどの現場のオペレーション・マニュアルです。
そもそもオペレーション・マニュアルは米国で発達しました。米国のフランチャイズチェーン勃興期とも言える1960年前後に、商品やサービスの品質を担保するために必要な作業手順を伝える手段として作成されました。その後、マクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどが日本に上陸し、チェーンストアが広がっていく過程で、マニュアルこそがチェーンの成功の鍵として、マニュアル至上主義のようなことが言われました。
その反面、マニュアル偏重を揶揄する「マニュアル人間」という言葉も流行し、「脱マニュアル」「マニュアル無用」ということも言われました。
こうした流れはその後も繰り返されてきましたが、最近では、前述の日本マクドナルドはもとより、無印良品など、マニュアルの作り方や使われ方を自社で開発し、周知することで事業を大きく伸ばしたり、サービスや品質改善に繋がった事例がしばしば紹介されました。
フランチャイズチェーンが自社の商品やサービスを加盟店に教えて、徹底するために、マニュアルは重要な役割を果たします。昨今、外国人労働者を雇用することも増えており、フランチャイズ本部が正しくルールや手順を教えるツールとして、マニュアルの整備はフランチャイズ展開の基盤とも言えます。
フランチャイズチェーンの現場で使用するマニュアルを一般に「オペレーション・マニュアル」と呼ぶことが多いですが、オペレーション・マニュアルを作成した次の段階で求められるのは、研修制度やトレーナーの育成です。
直営チェーンのみの場合、オペレーション・マニュアルはあるが、ほとんど使われていないということが少なくありません。上意下達、管理監督がしやすい環境にあることから、そうした状況になりやすいと考えられます。
フランチャイズチェーンでは、店長も含めて早期戦力化が求められますし、トレーニング期間も限られます。
したがって、フランチャイズ展開を想定したマニュアル作成や教育研修の仕組みを整備することは、ムリ・ムダ・ムラの削減、生産性の向上にも繋がっていくことが期待出来ます。