マニュアルは何のためにつくるのでしょうか?
オペレーションの正しい作業手順と作業が完了した時の品質基準を従業員に教えるためです。
つまり、研修(トレーニング)ツールです。

少々まどろっこしい表現ですが、
「『完成品の品質』と『やり方』を明示することで、同じやり方を覚えてもらい、同じやり方で作業することで、同程度の商品やサービス(完成品)をお客様に提供できるようになる。そのための研修ツールが、オペレーションマニュアル」なのです。
今回は、マニュアル作成に着手する前に知っておきたい構成上のポイントについてお伝えしたいと思います。

マニュアル作成に着手する前に知っておきたい構成上のポイント


マニュアルはノウハウを具体化した「手順書」

よくマニュアルにはノウハウが詰め込まれている、バイブル等と言いますが、記述してある内容は実はやり方しか書いてありません。
使用する機器、器具、情報システム(アプリケーション)の中味までは記述する必要はないのです。
そのことを念頭において、店舗の従業員、フランチャイズ加盟店のスタッフに覚えていただきたいやり方にはどのような事項があるかを並べてみましょう。

前提となる企業の理念、モットー
各企業には、経営理念、商品・サービスやビジネスに対する価値観が背景があります。
ビジネスの主体である企業(フランチャイズ本部)がどういう考え方、価値観を持っているのか、こんにちに至るまでのストーリーなども知ってもらう必要があるでしょう。
飲食店でよく使われる「QSC」(品質、サービス、清潔さ)などのモットーも明示すると良いでしょう。
ここまではやり方を示すための前提です。

ハウスルールはチェーン標準で
身だしなみ、行動規範、手洗いなど、(マニュアルがなくてもあたり前と思われるような)働く上での基本的なことも記述します。
また、飲食業であれば衛生管理や飲酒に関わる法律など、仕事に従事する上で必要な知識も目次に入れるようにします。
特にフランチャイズチェーンの場合には、加盟店を正しく指導する上でも大事になってきます。
加盟店が企業の場合には各社にも就業規則がありますが、チェーンの信頼を維持するために必要な事項、加盟店に対応いただく事項は明記します。

一日の業務
毎日の開店から閉店までの業務を時系列で洗い出していきます。

  • 店のカギを開ける
  • 店内の必要最低限の電気をつける
  • 店内を見まわる
  • 引継ぎノートを確認する 等々、、、

作業ごとに分解して見出しをつける
その際の注意点は、作業分担の分け方です。
ベテランだったら一人で出来る仕事も、仕事を覚える時はいくつかの作業に分けることが出来ないかを考えてみてください

「人」でなくて「業務」で分けて記述する
例えば「餃子定食」というメニューを思い描いてみてください。
定食の内容が、餃子1人前、ご飯、スープ、お新香、だとします。

  • 餃子の焼き方
  • ごはんの炊き方、盛り付け方
  • スープの作り方、盛り付け方
  • お新香の仕込み、盛り付け方
  • 定食の配膳の仕方

といったように、別々の作業として教える必要があるのではないでしょうか?
ベテランであれば一人で出来る作業かもしれませんが、新人スタッフは一つずつの作業を覚える必要があります。
マニュアルも作業ごとに分解しておくと良いでしょう。

マニュアルは目次作成がカギ!
このようにして考えて、見出しになりそうな事柄を洗い出して、テーマごとに並べ直して、目次案をつくります。

山崎 純一郎/ Junichiro Yamazaki

投稿者プロフィール

株式会社アクアネット フランチャイズ経営研究所 部長 チーフコンサルタント
NFCA認定FCコンサルタント/AFP(日本FP協会認定)/2級FC技能士(ファイナンシャルプランナー)
【略歴】サービス業系FC本部では法務室長、経営企画部長等を経て、2003年より現職。
フランチャイズ本部構築コンサルティング、FC本部向けに品質マネジメントシステム(ISO9001)取得支援コンサルティング、フランチャイズ本部の各種マニュアルの企画・編集・制作を担当。FC本部向け研修講師、執筆等も行っている。

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