「商標審査基準」を45年ぶりに大幅に見直し。フランチャイズ業界への影響は?

これ、わかりますか?

(XXXにはチェーン名が入ります)

  1. 近くて便利、XXXです。
  2. マチの健康ステーション XXX
  3. あなたと、コンビに、XXX
  4. うまい、やすい、はやい
  5. やればできる子を、本当にできる子へ。XXX はYDKを応援します!
  6. 見つけてあげるよ、君だけのやる気スイッチ。

どこのチェーンか、全てわかりましたか?
答えは、1.セブン-イレブン 2.ローソン 3.ファミリーマート 4.吉野家 5.明光義塾 6.スクールIE、です。

テレビや広告などでお馴染みのキャッチフレーズですね。
このキャッチフレーズに関して、日経新聞に先日、以下のような記事が掲載されました。

 

キャッチフレーズも商標 特許庁、原則拒否から転換

企業ブランドを守るための商標の審査基準が4月から大きく変わる。企業のキャッチフレーズを商標として登録しやすくしたり、東京五輪に向けた関連商標の審査基準を明確にして悪質な類似ブランドの増加を防止したりすることなどが柱。日本企業の間で自社イメージを消費者に浸透させたいというニーズが高まっていることを踏まえ、45年ぶりの大幅な改定に乗り出す。

2016年3月24日の日経新聞の記事より一部抜粋して引用

 

前述のようなキャッチフレーズについて、特許庁はこれまで、企業のキャッチフレーズを、商標として審査することを原則拒否していました。
しかし、「商標審査基準」を45年ぶりに大幅改定したことで、今後は商標登録の可能性が高まってきました。

商標審査基準とは、簡単にいうと、「商標法の運用方法や基準」です。
法律の条文だけでは解釈しきれない部分をどう扱うか、事例も交えて文書で解説されています。
この基準がどう変わったのか?
特許庁のホームページから引用します。

 

<商標審査基準改訂のポイント>

(1) 商標の使用について、法令に定める国家資格等が必要な場合において、当該資格を有しないことが明らかなときは商標法第3条第1項柱書に該当することを明記(商標法第3条第1項柱書)

(2) 書籍等の題号について、その商標が商品の内容等を認識させる場合について、具体的事情を明記(商標法第3条第1項第3号)

(3) 商標がその商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合等の具体的事情を明記(商標法第3条第1項第6号)

(4) 使用による識別力に関し、近時の裁判例等を踏まえ商標や商品又は役務の同一性等について明記(商標法第3条第2項)

(5) 国・地方公共団体の著名な標章等と同一又は類似の商標の取り扱いについて、具体例とともに判断基準を明確化(商標法第4条第1項6号)

(6) その他

近時の裁判例等を踏まえて、商標法第3条第1項各号に該当する例示を変更
用語の統一化

出展:特許庁ホームページ

https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/12th_kaitei_h28.htm

 

非常にわかりづらいですが、フランチャイズビジネスに、すぐに大きな影響があるわけではなさそうです。
しかし、前述のキャッチフレーズが商標登録できる可能性が高まるという状況は、ブランディングや差別化などに活用できそうです。
上記の日経新聞の記事が、キャッチフレーズを商標登録するために満たすべき条件を、わかりやすく整理していたので参考までに紹介します。

(1)特定の商品宣伝にならずに企業理念を反映したもの

(2)できるだけ抽象的な表現を用いていること

(3)一定期間利用していて独自性があること  など

制度が変わった直後がチャンスかもしれません。
是非トライしてみてください。

 

 

 

 

松久 憲二

投稿者プロフィール

株式会社アクアネット フランチャイズ経営研究所 副社長COO シニアコンサルタント
一般社団法人日本フランチャイズコンサルタント協会 代表理事
特定非営利活動法人 起業応援倶楽部 理事長
昭和43年生まれ。大分県出身。
宮崎大学工学部電子工学科卒業後、大手コンサルタント会社、大手生命保険会社を経て現職。
フランチャイズ本部の立ち上げから加盟店開発などを中心とした経営コンサルティング、執筆および講演等の活動を行っている。

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