フランチャイズ本部と加盟店のトラブルの大半は、加盟時に受けた説明と実際営業を始めてからの実態が大きく異なるというものです。つまり、加盟時におけるフランチャイズ本部の加盟店開発担当者の説明の仕方に留意することで相当のトラブルが防げるということです。
加盟候補者に言ってはいけない言葉
そこで、将来のトラブル回避のために加盟店開発担当者が加盟店開発時に加盟候補者に言ってはいけない言葉を以下列挙してみました。
1.「ここでオープンすれば月商600万円、営業利益100万円は間違いないですよ」
このように言われれば、加盟希望者は安心して契約書に判を押そうと思います。しかし、ビジネスにおいて売上、利益を保証するなどということは無謀としか言えません。売上・利益に関してはあくまでも、加盟者の責任です。
2.「副業でも大丈夫です。資金さえ用意できれば何とかなります」
資金さえ準備できれば、あとは本部が何とかしてくれるような言葉は禁句です。事業の経営は加盟者自身の責任です。資金が用意できて、店長や従業員が雇えてオープンできたとしても、加盟オーナーがあまり経営に関与しないでは店長が辞めたりしたら事業を継続できなくなってしまうリスクが大きくなります。
3.「契約書は形式ですから、我々の話を信じて判を押してもらえば大丈夫です」
フランチャイズチェーンにおいて憲法ともいえるのが、フランチャイズ契約書です。契約書には、加盟者の義務が詳細にわたって記載されています。契約条項に違反すると是正勧告はもちろん、契約解除にまで至ることもあります。
加盟者に「そんな話聞いてないよ」と言われないように、フランチャイズ契約書は、法定開示書面とともに読み合わせなどを行い、きちんと理解してもらうことが必要です。
4.「物件は本部で用意しますから、安心してください」
一般的には、物件は加盟者自身が探してきて、それを本部が承認するという手順を踏んで初めて正式にフランチャイズ契約が成立します。もし、フランチャイズ本部が物件を探してきて加盟者に紹介する場合でも、最終的には加盟者がその物件でオープンするということを決断して初めて、フランチャイズ契約が成立するというのが本来の手順です。
本部が加盟者に物件を押し付けて強引に加盟契約を締結させるということは、加盟者が、フランチャイズ本部が成功を保証した物件だと誤解することがあります。くれぐれも物件の決定権は加盟者にあるということをお忘れなく。
5.「開業にかかわる申請などは、本部が代行しますので、ご安心ください」
介護サービスや福祉関連など開業時に行政に対して様々な申請業務が必要となるような事業の場合、加盟者は申請方法については、ノウハウがないので、本部にお任せということになりがちです。
しかし、申請をフランチャイズ本部が代行すると申請に不備があった場合、本来請求できるはずの保険金や助成金が入ってこない ということが起こります。
そんな場合、本部がすべて代行してしまうと加盟者から損害賠償請求されるリスクが高まります。
加盟者にノウハウがないので、本部が全面的にサポートすることは必要ですが、あくまでも申請の主体は加盟者であって、責任の所在は加盟者にあるという業務の流れを作っておくことが欠かせません。
以上、いくつか代表的な言ってはいけない言葉を紹介しましたが、これ以外にも加盟者に対してむやみに約束しない、当然保証もしないということが大切です。