フランチャイズ本部構築に必須の商標登録

フランチャイズ本部を構築する際に、できるだけ早い段階で取り組まなければならないのが、商標登録です。フランチャイズチェーンにとって、ブランドは命です。自チェーンのブランドが他社でも使えるとしたら、自らが作り上げたブランドが簡単に他社でも使えるということになってしまいます。そして、折角高い認知度と好感度を持ってもらえるブランドを形成できたとしても、他社が勝手に使えるとしたら、お客様も混乱することになり、結果としてブランドイメージが著しく損なわれてしまいます。たとえば、セブン-イレブンというブランドで誰でもコンビニエンスストアを開業できるとしたら、お客様は大混乱し、セブン-イレブンだからといって現在のような安心感を持ってお店を利用することができなくなってしまいます。

さらに、商標登録を怠ると自チェーンで使っていたブランドが突然使えなくなってしまうということも起こり得ます。数十店舗、数百店舗に拡大してお客様からの認知度もようやく高まってきたのに、急にそのブランドが使えなくなると、またゼロからのスタートということにもなりかねません。

商標登録を行う場合、まず、自社のブランドが商標登録できるかどうかを確認する必要があります。商標登録は先願主義といって早く出願した人にまず権利が与えられます。したがって、自分たちが登録しようとする名称が既に登録されている場合は、商標登録できないということになります。

すでに他人に商標登録されている名称で、自社が直営店を1店舗か2店舗くらい展開していても、その商標がよほど著名な名称 (例えば、マクドナルドという名前のハンバーガーショップのような) でない限り、商標を登録している当事者が使用を差し止めるというケースはそれほど多くありません。しかし、実際にフランチャイズ本部を構築して大々的に加盟店募集を始めるとそうはいかなくなります。すでに商標登録している企業(個人)から使用差し止め請求がきます。そうなると原則として長年営業していた直営店も含めてそのブランド(名称)が使えなくなります。

商標登録の可否を調べるには、特許情報プラットフォームの特許・実用新案、意匠、商標の簡易検索のサイト(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage)があります。このサイトで調べたい名称をカタカナで入力し、類似商標があるかどうかを検索します。登録したい分類と同じ分類に類似した登録商標があると登録は難しくなります。なければ、登録は可能です。しかし、判断が難しい場合も多々ありますので、困った際には弁理士さんに確認しましょう。

商標登録を行う場合は、弁理士さんに依頼するか、特許庁のHPから登録用紙をダウンロードして行う方法があります。

なお、商標は1類から45類まで分かれていて、商品やサービスの内容によって区分されています。モノの名称は1類から34類まで、事業の名称つまりお店のブランドは、35類以降に分類されます(分類については、特許情報プラットフォームに掲載されている商品・サービス国際分類表を参照)。

商標登録は、お早めに!

 

民谷昌弘

投稿者プロフィール

株式会社アクアネット フランチャイズ経営研究所 代表取締役社長
(一社)日本フランチャイズコンサルタント協会 会長
フランチャイズビジネス全般のコンサルタントとして、百社を超える新規本部の立ち上げを支援し、これまで数百社に及ぶフランチャイズチェーンの運営改善や教育研修、加盟店開発支援などの実績を持つ。
(一社)日本フランチャイズチェーン協会
 SV学校、経営士講座、FC本部構築講座 講師
独立行政法人中小企業基盤整備機構  経営支援アドバイザー

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