サービス業だから法定開示書面は不要?

フランチャイズ本部には法令で情報開示が求められています。
この情報開示に使用する書面が、「法定開示書面」と呼ばれます。

ただし文書のタイトルは、「フランチャイズ契約の要点と概説」、「ご契約のしおり」など本部によって独自の名称を使っています。

この法定開示書面について、しばしば耳にする言葉があります。
それは、「うちはサービス業だから法定開示書面は作成しなくても良い」というものです。

はたして、正しい判断でしょうか?
根拠となっている法理を確認してみましょう。

フランチャイズ本部に情報開示書を求めている法律は2つあります。
ひとつは、中小小売商業振興法。
そして、もうひとつが独占禁止法です。

中小小売商業振興法から情報開示を求められている事項は以下の通りです。

1 加盟に際し徴収する加盟金、保証金その他の金銭に関する事項

2 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

3 経営の指導に関する事項

4 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

5 契約の期間並びに契約の更新及び解除に関する事項

6 前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

※出所:中小小売商業振興法第11条

 

 独占禁止法から情報開示を求められている事項は以下の通りです。

1 加盟後の商品等の供給条件に関する事項(仕入先の推奨制度等)

2 加盟者に対する事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担に関する事項

3 加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、その返還の有無及び返還の条件

4 加盟後、本部の商標、商号等の使用、経営指導等の対価として加盟者が本部に定期的に支払う金銭(以下「ロイヤルティ」という。)の額、算定方法、徴収の時期、徴収の方法

5 本部と加盟者の間の決済方法の仕組み・条件、本部による加盟者への融資の利率等に関する事項

6 事業活動上の損失に対する補償の有無及びその内容並びに経営不振となった場合の本部による経営支援の有無及びその内容

7 契約の期間並びに契約の更新、解除及び中途解約の条件・手続に関する事項

8 加盟後、加盟者の店舗の周辺の地域に、同一又はそれに類似した業種を営む店舗を本部が自ら営業すること又は他の加盟者に営業させることができるか否かに関する契約上の条項の有無及びその内容並びにこのような営業が実施される計画の有無及びその内容

※出所:フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について(公正取引委員会)

前述の、「うちはサービス業だから・・・」となるのは、ひとつめの法律、中小小売商業振興法が小売業を対象としているのでサービス業は関係ない、という認識だからです。

たしかに、この法律の第2条第2項で、小売商業者は、「小売業に属する事業を主たる事業として営む者」と定義されています。
しかし、このことだけから、サービス業は情報開示の義務がないとはなりません。
当然ながら独占禁止法からの要請はサービス業であっても遵守する必要があります。

また、最近は国や業界団体の啓蒙活動のおかげで、多くの加盟希望者が、「ちゃんとした本部は法律を遵守し、法定開示書面を作成しているものだ」という認識を持つようになりました。
これは、サービス業フランチャイズ本部であっても同じようにみられます。

このことからも、法定開示書面の作成は、フランチャイズ本部であれば必須だと考えるべきです。
これから法定開示書面の作成を行いたいという方は、是非弊社コンサルタントにご相談ください。

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松久 憲二

投稿者プロフィール

株式会社アクアネット フランチャイズ経営研究所 副社長COO シニアコンサルタント
一般社団法人日本フランチャイズコンサルタント協会 代表理事
特定非営利活動法人 起業応援倶楽部 理事長
昭和43年生まれ。大分県出身。
宮崎大学工学部電子工学科卒業後、大手コンサルタント会社、大手生命保険会社を経て現職。
フランチャイズ本部の立ち上げから加盟店開発などを中心とした経営コンサルティング、執筆および講演等の活動を行っている。

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