加盟店開発における競合の捉え方

貴社のフランチャイズパッケージは、どこと比較されていますか?

いわゆる競合のことです。

「そんなのわかりきっている」と、思われる方も多いかもしれません。

しかし、きちんと把握するのは意外と難しいものです。
そこで、少し考え方を整理してみます。

二つの考え方をご紹介します。

「直接競合」「間接競合」です。

  • 「直接競合」とは、自社と同様の商品を提供しているところです。
  • 「間接競合」とは、自社と異なる商品を自社と同じお客様に販売しているところです。

加盟店開発において商品は、自社のフランチャイズパッケージです。
では、自社における、直接競合と間接競合をリストアップしてみてください。




できましたか?

この作業を行うと、よくこんな感じになります。
例えば、ラーメンの本部の場合。

  • 直接競合:フランチャイズ展開しているラーメンチェーン
  • 間接競合:フランチャイズ展開している飲食チェーン

競合をこのように捉えると、まずは、「同じラーメンのフランチャイズチェーン中で如何に選ばれるか」という発想で加盟店開発の戦略を考えるでしょう。
そして、できれば「他の飲食フランチャイズと比較されても魅力的なパッケージをつくる」ことも意識します。

これは、ひとつの考え方です。
別に悪くありません。

しかし、実際には、ラーメンチェーンと学習塾や介護のチェーンといった、異業種への加盟を、同時並行で検討している加盟希望者は、少なからず存在します。
このような場合は、少し競合の捉え方を変える必要があるかもしれません。

例えば、加盟希望者(お客様)が、「何か良いビジネスはないか?」という視点で、フランチャイズパッケージを検討しているような場合です。

この場合、
直接競合は、「初期投資が同程度のフランチャイズチェーン」という捉え方ができます。
この場合の間接競合はどう考えれば良いでしょうか。
例えば、ネットビジネスや販売代理店など、フランチャイズ以外のビジネスチャンスを提供する商品・サービスと捉えることもできます。
このように、競合の捉え方は、意外と難しいものです。

特に、間接競合を考え出すと、競合の範囲が際限なく拡がる恐れもあります。
わかりやすい例で考えると、同じ財布から出費するので、携帯電話とレストランやコンビニが競合するという具合です。

フランチャイズパッケージでも同じように考えてみます。

例えば、初期投資が約300万円かかるフランチャイズパッケージと、同程度の出費が必要な結婚式は競合するのでしょうか?
「結婚式に負けないフランチャイズパッケージはどういうものか?」などを検討することに意味はあるでしょうか?
通常は、考える必要はないでしょう。

競合を、きちんと把握することは大切です。
しかし、前述のように、どの範囲で競合を認識し競合対策を考えればよいか、結論を出すのが難しい場合もあります。

そんな時は、自社のターゲットから考えてみてください。

  • ラーメン店のオーナーとして起業したい人なのか、
  • 飲食で起業したい人なのか、
  • もうかれば業種は問わない人なのか、
  • フランチャイズ加盟以外の選択肢も検討している人なのか、

などを考慮すると、競合を捉える範囲が決まります。

直接競合と間接競合の考え方は、「直接競合だけ考えるより、間接競合も考慮して競合対策を考えた方が望ましい」と説明されることが一般的でしょう。

人によっては、ファイブフォース分析(※)における、代替品も考慮しろといった方がわかりやすいかもしれません。
※ファイブフォース(5 Forces)分析は、ハーバードMBAの教授、マイケル・ポーター氏が提唱したフレームワークです。

しかし、フランチャイズ本部の場合、直接競合の定義がいくつも考えられる場合も多いので、ちょっと工夫が必要です。

頭の体操だと思って、一度じっくりと考えてみてください。

 

松久 憲二

投稿者プロフィール

株式会社アクアネット フランチャイズ経営研究所 副社長COO シニアコンサルタント
一般社団法人日本フランチャイズコンサルタント協会 代表理事
特定非営利活動法人 起業応援倶楽部 理事長
昭和43年生まれ。大分県出身。
宮崎大学工学部電子工学科卒業後、大手コンサルタント会社、大手生命保険会社を経て現職。
フランチャイズ本部の立ち上げから加盟店開発などを中心とした経営コンサルティング、執筆および講演等の活動を行っている。

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